ネットワン工法選定にあたって【Heads up!!】
本工法は、落石対策便覧(平成29年12月)P159-160に記載されている
「5-5-5実験による性能検証」ではなく、自社独自の性能検証法※を採用しています。
検討にあたっては、その旨を御了承願います。
※実規模実験結果を反映させた動的応答解析による性能照査法
ネットワンの性能と特徴、構造とは?
大規模落石実験から生まれた進化型落石防護網、それがネットワンです。
高弾性で変形特性に優れた金網、ネット全体の負担を低減する緩衝装置、衝撃をネット全体に分散させるワイヤロープからなる、施工工期を大幅に短縮したリーズナブルな工法です。
ネットワンは現地の条件により覆式、ポケット式の選択が可能です。
覆式は落石の発生源から保全対象に至る斜面全体を覆い、落石に対処するもので最大落石重量100kN(約10t)に対応可能です。
ポケット式はネットの上部に支柱を設け斜面上方からの落石を捕獲し、落石がネットに衝突した際に衝撃力および速度を減衰させ、安全な場所に誘導させるもので
最大落石重量100kN(約10t)に対応可能な落石防護網となっています。
ネットワンの構造
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①端末緩衝金具+アンカー
支柱控え・端支柱控えにロックアンカーを設置します。ロックアンカーとワイヤロープの接続に端末緩衝金具を設置します。端末緩衝金具はワイヤロープに加わる張力を平均で65(kN)程度に制限するため、ワイヤロープが破断(破断荷重157kN)することなく、同時にアンカーの破断・引き抜けも防止できます。
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②金網
ネットワン工法は新開発のワイヤひし形金網、硬厚金網を使用しています。特徴として伸び特性(変形特性)、強度特性がひし形金網、亀甲金網を上回っており、硬厚金網はφ4㎜、φ5㎜を使い分けることができコストを削減することが可能です。
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③ワイヤロープ
ネットワン工法のワイヤロープは様々なタイプの組み合わせにより荷重を分散することができ、効率よく落石エネルギーを吸収します。ワイヤロープは、3×7φ12㎜を使用し型式によりワイヤロープの組み合わせは異なります。
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④連結緩衝金具+アンカー
ネットワン工法は、ネット内の縦横10m以下または5m以下に設置したアンカーに連結緩衝金具を設置し、 アンカー、金網、ワイヤロープなどへのダメージを低減しています。 連結緩衝金具は、落石規模・速度に関わらず約20kNの荷重を保持しながら滑るので、 ネット全体の負担を低減し、大きな落石に対処できます。 同時に、金網とワイヤロープもスリップするので、緩衝作用を広範囲に負担させることができます。
条件に合わせて3形式から選択可能
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覆式
落石の発生源となる斜面全体に設置する形式です。 ネットの自重による抑止力を与え、落石発生時は跳躍・衝撃および速度を緩和させる事で、ネット下端へ安全に誘導させることができます。
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ポケット式
長大斜面の上部より落石の発生源が存在する場合、ネット上部に支柱を設けて落石を補足する形式です。 落石が、ポケット部のネットに追突した際に衝撃力及び速度を減衰させます。
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ネットワンが採用される顕著な事例
比較される対策工の概要と課題(落石防護工を主体とした場合)
対策工 | ①落石予防工+ 落石防護網(柵)工(従来型) |
②高エネルギー吸収型 落石防護網工 |
③高エネルギー吸収型 落石防護柵工 (ネット強化型) |
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概要 | 落石発生源で個別に予防工を行い、道路脇にて落石防護網(柵)を併用する方法。 | 斜面中に支柱を設置し、上方からの落石を、ワイヤロープ配置等を追加、補強、大規模支柱を使用することで通常よりも大きな落石エネルギーに対応する方法。 | 斜面中に支柱を設置し、上方からの落石を、ネットの大変形と緩衝装置の相互作用によりエネルギー吸収し捕捉する工法。 |
対策工① 課題
従来型落石防護網(柵)は小規模落石を対象としている。大きな落石は別途予防工で対策が必要となるが、広範囲に及ぶ場合仮設費・施工日数や用地取得の時間を要する場合がある。
解決策
ネットワンは規模の大きな落石を対象としているため予防工の必要な範囲が大幅に減少、削減され、資材運搬の仮設費と施工日数が減少する。
対策工② 課題
H鋼製の支柱を基本としているものが多い。支柱高さが長いと、重量が大きくなる為、トラッククレーンでの施工が必要となる。
解決策
ネットワンの支柱は中空構造で軽量の為、簡易ケーブルクレーンやモノレール( ベビーウインチ等を併用)での施工も可能である。
対策工③ 課題
道路からの目視点検時、植生が繁茂し視認が困難である。ネット内に堆積した落石の撤去など維持管理に課題がある。
解決策
道路からの目視点検時、植生が繁茂しても斜面下端防護柵背面まで落石が誘導される為、視認が可能である。ネット内に堆積した落石の撤去は容易である。
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ネットワンの耐久性は?
部材規格と耐用年数
- 使用される部材の防蝕仕様は全て溶融亜鉛めっきを標準としています。
- 耐用年数の判定は素線径の細い金網を基準に判定しており、郊外地区(田園地帯)において約50年程度となります。
計算式:耐用年数=亜鉛付着量(g/m2)÷腐食速度(g/m2/年)×0.9
- 海岸地帯等の腐食速度の大きい地域においてはアルミ亜鉛合金めっきを選択することで、上記と同程度の耐用年数を確保することが可能です。
- 景観保全を考慮しなければならない箇所において着色仕様を選択することも可能です。
溶融亜鉛めっき使用環境別耐用年数
ネットワン 施工手順
主な仮設備
現場内運搬にはトラッククレーンや簡易ケーブルクレーン等が主体となります。現場条件によっては、モノレールによる運搬方法も検討します。
標準的な施工手順フローチャート
施工範囲の測量
設計図書に基づいて測量を行い、設計数量と現地数量の差異を確認します。
斜面形状(凹凸等)によって設計数量との差異が大きい場合は、発注者立会の下で確認を行い、
数量変更の協議を行います。
ロックアンカー組立
削岩機(人力又は機械)を用い、地盤状況に応じて自穿孔(SDタイプ)他穿孔(PBタイプ)を使用します。グラウト注入~養生期間を置いて確認試験を行います。
支柱組立 ※ポケット式のみ
ラフテレーンクレーン・簡易ケーブルクレーンにて支柱を運搬し建込を行います。
その際は、転倒防止として荷締めロープ・レバーブロック等を用います。
その後、支柱間隔保持ワイヤロープ・支柱控えワイヤロープ等の取付けを行います。
端末緩衝金具組立 ※ポケット式のみ
専用器具を用いて端末緩衝金具を支柱控えワイヤロープに取付け、Uボルトを介して
ロックアンカー(支柱控え型)へ接続を行います。
金網組立
トラッククレーン・簡易ケーブルクレーン等にてワイヤひし形金網または硬厚金網を荷揚げし設置を行います。
連結緩衝金具組立※
※ワイヤロープ連結金具・ロープガイド・クロス型緩衝金具をまとめた総称です
ロックアンカー(標準型)に取付けた、スリップロープに連結緩衝金具を設置します。
インパクトレンチ等で仮締めを行った後、トルクレンチにて所定の軸力まで締付けます。
ワイヤロープ組立
ワイヤひし形金網または硬厚金網上にワイヤロープを配置します。
ワイヤロープの連結は、専用機械にて圧着加工を行います。
施工性および維持管理性
・施工に必要な仮設備は一般的な落石防護網工と同程度であり、トラックレーンや簡易ケーブルクレーンまたはモノレールによる資材運搬と、ロープ足場による人力作業が主たる施工手段となり、同等性能をもつ他の落石防護工に比べて大幅な施工日数および経費の削減を実現しています。
・アンカー及びワイヤロープは緩衝金具によって部材に掛かる張力が制限されるため、破損が極めて起こりにくくなっています。また、落石は道路下端へ誘導されるため、日常の施設パトロールで点検が可能です。