強靭防護網

ラインナップ

タイプ 性能 支柱間隔 高さ(SL) 延長(W) 金網 緩衝装置数*
ロープタイプ 2,700kJ 10.0~19.0m 15.0m 10.0m~ φ5.0×50×50
(ひし形金網)
62組~
ネットタイプ 2,500kJ 10.0~19.0m 13.5m 10.0m~ φ5.0×50×50
(高強度金網)
50組~
1,400kJ 10.0~19.0m 12.0m 10.0m~ φ5.0×50×50
(硬厚金網)
24組~
700kJ 10.0~19.0m 11.0m 10.0m~ φ4.0×48×48
(硬厚金網)
12組~
400kJ 10.0~19.0m 10.0m 10.0m~ φ3.2×48×48
(硬厚金網)
6組~
200kJ 10.0~19.0m 10.0m 10.0m~ φ3.2×48×48
(硬厚金網)
4組~

※ロープタイプは「端末緩衝金具」、ネットタイプは「緩衝装置」で、形状・規格が異なります。

ロープタイプ

極めて高い性能を追求した構造対応可能エネルギー/2, 700kJ(2,785kJ)
強靭防護網ロープタイプは、極めて大きな落石エネルギーに対応した構造です。
高強度ロープを縦・横の格子状に配置し、ロックアンカーと端末緩衝金具を多く設置するタイプです。

ロープタイプ構造
  • ①ロックアンカー+端末緩衝金具

    ロックアンカー+端末緩衝金具

    端末緩衝金具によってスリップロープに加わる張力を制限する為、高強度ロープの損傷、ロックアンカーの引抜け・せん断破裂を防止します。

  • ②ひし形金網(φ5.0mm)高強度ロープ(φ18mm)+結合コイル

    ひし形金網(φ5.0㎜)<br>高強度ロープ(φ18㎜)+結合コイル

    高強度ロープは縦40cm×2本横50cm×1本間隔で配置します

  • 展開イメージ図

    展開イメージ図
  • 横断イメージ図

    横断イメージ図

細部の構造は変更となる場合があります。

ネットタイプ

対応可能エネルギー/200kJ・400kJ・700kJ・1,400kJ・2,500kJ
コスト・施工性のバランスが取れた構造です。
高強度な金網を使用し、ワイヤロープと緩衝装置の配置がロープタイプに比べて少ない形状です。

ネットタイプ構造
  • ①ロックアンカー+緩衝装置

    ロックアンカー+緩衝装置

    緩衝装置の設置数によって高強度ロープに加わる張力を調整し、高強度金網・硬厚金網の損傷、ロックアンカーの引抜け・せん断破裂を防止します。

  • ②高強度金網・硬厚金網+高強度ロープ+ストップフック

    高強度金網+専用ワイヤロープ+結合コイル

    高強度金網・硬厚金網に対して高強度ロープを横方向のみに配置していきストップフックで接続します。

  • 2500kJ展開イメージ図

    展開イメージ図
  • 200kJ展開イメージ図

    展開イメージ図

細部の構造は変更となる場合があります。

強靭防護網の採用検討ポイント

比較される対策工の概要と課題(落石防護工を主体とした場合)

対策工 ①落石予防工+
落石防護網(柵)工(従来型)
②高エネルギー吸収型
落石防護網工
③高エネルギー吸収型
落石防護柵工
(ネット強化型)
概要 落石発生源で個別に予防工を行い、道路脇にて落石防護網(柵)を併用する方法。 落石発生源で個別に予防工を行い、道路脇にて落石防護網(柵)を併用する方法。 斜面中に支柱を設置し、上方からの落石を、ネットの大変形と緩衝装置の相互作用により作用エネルギー吸収し捕捉する工法。 斜面中に支柱を設置し、上方からの落石を、ネットの大変形と緩衝装置の相互作用により作用エネルギー吸収し捕捉する工法。 斜面中に支柱を設置し、上方からの落石を、ネットの大変形と緩衝装置の相互作用によりエネルギー吸収し捕捉する工法。 斜面中に支柱を設置し、上方からの落石を、ネットの大変形と緩衝装置の相互作用によりエネルギー吸収し捕捉する工法。

対策工① 課題

対策工① 課題

従来型落石防護網(柵)は小規模落石を対象としている。大きな落石は別途予防工で対策が必要となるが、広範囲に及ぶ場合仮設費・施工日数や用地取得の時間を要する場合がある。

解決策

解決策

強靭防護網は大きな落石エネルギーに対応。別途、予防工の必要な範囲が大幅に減少または不要となる。
その為、施工日数や仮設費の減少に繋がる。

対策工② 課題

対策工② 課題

道路からの目視点検時、植生が繁茂んし視認が困難である。ネット内に推積した落石の撤去など維持管理に課題がある。

解決策

解決策

道路からの目視点検時、植生が繁茂しても斜面下端防護柵背面まで落石が誘導される為、視認が可能である。ネット内に推積した落石の撤去は容易である。

強靭防護網の施工性・維持管理性

強靭防護網 施工手順

主な仮設備

現場内運搬にはトラッククレーンや簡易ケーブルクレーン等が主体となります。現場条件によっては、モノレールによる運搬方法も検討します。

標準的な施工手順フローチャート

施工性および維持管理性

・施工に必要な仮設備は一般的な落石防護網工と同程度であり、トラックレーン簡易ケーブルクレーンまたはモノレールによる資材運搬と、ロープ足場による人力作業が主たる施工手段となり、ネットタイプは同等性能をもつ他の落石防護工に比べて大幅な施工日数および経費の削減を実現しています。

・使用されるロックアンカー、高強度ロープは端末緩衝金具・緩衝装置によって部材に掛かる張力が制限(又は調整)されるため、破損が極めて起こりにくくなっています。また、落石は道路下端へ誘導されるため、日常の施設パトロールで点検が可能です。

部材規格と耐用年数

  • 使用される部材の防蝕仕様は溶融亜鉛めっきを標準としています。
  • 耐用年数の判定は素線径の細い金網を基準に判定しており、郊外地区(田園地帯)において約50年程度となります。

計算式:耐用年数=亜鉛付着量(g/m2)÷腐食速度(g/m2/年)×0.9

  • 海岸地帯等の腐食速度の大きい地域においてはアルミ亜鉛合金めっきを選択することで、上記と同程度の耐用年数を確保することが可能です。
  • 景観保全を考慮しなければならない箇所において着色仕様を選択することも可能です。

溶融亜鉛めっき使用環境別耐用年数

溶融亜鉛めっき使用環境別耐用年数

亜鉛アルミニウム合金めっきの耐食性

亜鉛アルミニウム合金めっきの耐食性や協会規格については 以下を参照してください。

性能設計と性能検証法

道路土工構造物技術基準の制定

近年、道路土工に関わる様々な技術が進歩し、大規模かつ技術的に高度な道路土工構造物が建設されるようになりました。
それに伴い、道路土工構造物が道路構造物としての重要な要素と認識されるようになり、 安全性に関する明確な基準の必要性が高まってきたことを背景とし、平成27年3月31日に道路土工構造物技術基準が定められ、通知されました。
この基準は、平成27年度以降の設計・計画に適用されることになりました。

要求性能における3つの観点(安全性・使用性・修復性)

性能照査設計では、要求性能(構造物が持つべき性能)を設定します。要求性能(性能1、性能2、性能3)は、安全性、使用性、修復性の3つの観点から定められるものです。

実験による性能検証

落石対策便覧に明示されている実験方法(P159-160)は、以下の参考文献を基準として定められています。

整理番号第491号 【高エネルギー吸収型落石防護工等の性能照査手法に関する研究】共同研究報告書 平成29年3月 国立研究開発法人土木研究所

「実験による性能照査手法編」(P152-162)

〈共同研究報告書とは?〉
◆ 落石防護工に求められる機能と性能を明らかにし、性能照査手法を確立・まとめる事を目的として作成された文献です。
◆ 本書作成に参加されたメンバーは、国立開発法人土木研究所、国立大学法人室蘭大学および落石防護製品(高エネルギー吸収型含む)開発会社などで構成されています。
◆ 国立研究開発法人土木研究所より参加された有識者は、落石対策便覧の執筆についても兼任されております。

共同研究報告書P153では、落石防護網(柵)として求められる性能として、3つを挙げています。
1.「捕捉性能」 想定される落石を確実に捕捉できる事
2.「維持管理性能」 落石や土砂が堆積したときの撤去、破損した時の部材の取り換え、補修が容易な事
3.「耐久性能」 耐久性に優れる事

この内、実験による性能検証は「捕捉性能」となります。

高エネルギー吸収型ポケット式落石防護網の標準的な実験方法について、落石対策便覧と共同研究報告書のそれぞれに記述されている項目を、以下の表に整理しました。

実験による性能検証と性能照査例

求める性能 項 目 参考文献 要旨
要求性能 性能水準 便覧 p.142
  |
便覧 p.147
安全性)
使用性)
修復性)
安全性 供試体 便覧 p.159



便覧 p.160
高さは実験値以上
幅は実験値以上
落石エネルギーレベル毎に1つの供試体
支柱 便覧 p.159

便覧 p.160
本数は実数以上
間隔は実験地以上
重錘 便覧 p.160

便覧 p.155

便覧 p.156
多面体、コンクリート基本
密度2.3~3.0(t/m³)を基本
質量計測値
衝突速度 便覧 p.160
便覧 p.161

便覧 p.155
便覧 p.156
25.0(m/s)以上を標準
25.0(m/s)未満は適用限界速度
精度よく計測することが重要
A) レーザー計測 B) 高速度カメラ
入射角度 便覧 p.160


便覧 p.155
便覧 p.156
垂直を基本
角度補正E=1/2m (v・sinθ)²
精度よく計測することが重要
A) 傾斜計 B) 高速度カメラ
回転 便覧 p.157
共研 p.156
回転エネルギーは考慮せず
載荷位置 便覧 p.160

共研 p.157
水平方向はスパン中央が基本
鉛直方向は設計位置
構造細目 便覧 p.156 A) 落石の直撃を受けない支柱の配置 もしくは
B) 支柱が1、2本破損しても全体的な崩壊につながらない構造にすること
安全性
使用性
道路空間の安全性 便覧 p.155



便覧 p.142
便覧 p.143
衝突時)
落石衝突時に防護網の突出が道路空間の安全性を損なわないことを確認する
衝突後)
停止後の落石が道路機能に支障を及ぼし、除去するために交通規制が必要か?
安全性
使用性
修復性
衝突データ 便覧 p.160
共研 p.157
衝突前) ミルシート等

衝突後) 最大変形量、その他
ロープ張力、設計データ、動画等
衝突後)阻止面高さ、供試体の損傷状況(補修量の目安)、緩衝措置の動作状況等
修復性 限界状態 便覧 p.159
共研 p.154
土研 HP*
落石が支柱を直撃したときに損傷や変形が生じるのはやむを得ないが、支柱の損傷が全体系の崩壊につながらないとともに、比較的容易に修復可能でなければならない
支柱基礎がヒンジの場合は、有意な傾斜が生じないこと
有意な傾斜とは補修しなければ性能に影響を及ぼす傾斜
修復性 便覧 p.142

便覧 p.143
補修はすみやか(容易)か?
性能が回復するか?
その他
(耐久性)
緩衝措置の安全性 便覧 p.170


共研 p.158
緩衝装置等は、所定の性能を供用期間内に安定して発揮できることが確認されたものを使用する
緩衝装置等を含む構成部材は、錆やクリープなどの経時変化に対する安全性を有する必要がある

※便覧=落石対策便覧、共研=共同研究報告書、土研HP=土木研究所_寒地土木研究所ホームページ

現場適用にあたっての留意事項

(1)実験時の供試体寸法を下回る大きさでの適用は出来ません。
(2)実験時の衝突速度が25m/sec未満である場合、その速度が適用限界となり、現場適用条件によっては落石の落下高さに上限が設けられる事があります。
(3)実験時を上回る入力エネルギー・衝突速度に、数値解析は適用出来ません。

強靭防護網の実験事例・動画

事例紹介【ネットタイプ2,500kJ】実規模性能照査実験結果

実施日 2019年8月20日・30日

性能水準

実規模性能照実験より、緩衝装置(スリップロープ)の摩耗や高強度ロープの素線に一部破断、阻止面(高強度金網)の一部に、摩耗と変形が見られました。
これらの箇所について部材の交換を行った上で、再載荷を実施した供試体においても、重錘を問題無く捕捉したことから、修復性と安全性を満たすものと判断しました。

以上の結果から、要求性能と落石防護施設の限界状態(右表)に照らし合せると、性能水準は【性能2】と評価しています。

安全性 使用性(供用性) 修復性
性能1
性能2 △(修復により○)
性能3 × ×

【ネットタイプ2,500kJ】評価シート

実験動画

ネットタイプ 200kJ

ネットタイプ 400kJ

ネットタイプ 700kJ

ネットタイプ 1,400kJ

ネットタイプ 2,500kJ

ロープタイプ 2,700kJ

5,000kJ